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夏、馬鹿

 夏になりました。私は今日も元気です。あなたはいかがでしょうか? お元気でしょうか。

 私は今、日本の北に位置する北海道というところに住んでおります。いくら無知なあなたでも北海道くらいご存知でしょう。無知なあなたは、北海道は北に位置しているため涼しいとお思いでしょう。馬鹿を言わないでください。北海道でも暑いものは暑いのです。そして無知なあなたは、暑いといっても沖縄ほどじゃないだろうと言いますね。馬鹿も休み休み言ってください。北と南を比べないでください。あなたは馬鹿なのですか? それとも阿呆なのですか? 私はあなたからの手紙を見るたびに、言い知れない苛立ちが募り募って山の如しなのです。もういい加減にしてください。あなたの無知さには呆れました。実は出会った最初から呆れてました。大概にしてください。うんざりです。……とまあ、私は常日頃からあなたに対するこの想いをぶつけました。ではあなたの気持ちもお聞かせください。無知なあなたは、この無知な私に、一体どんな想いがあるのですか? 無知な私に教えてください。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 僕は今、大変憤っている。それは君の手紙を読んだからだ。君からの手紙を読む前は、読書をしてくつろいでいたのに。君からの手紙が届き、読ませてもらった。なんだこれは。君はどこまで僕を侮辱したら気が済むのだ。誰も「北海道は涼しそうでいいなぁ。あはは」なんて言っていないし「沖縄に比べたら涼しいじゃないか!」とも言っていないだろう。君は誰を僕を勘違いしているのだ。というか、まずだ。「無知」を使い過ぎだろう。僕は無知ではない。無知だったら手紙の存在も知らないし、本なんて読めないし、字だって書けないだろう。馬鹿にするのも大概にしろ。全く君というやつは僕を馬鹿にするのが生きがいなのか。繰り返すが僕は今、大変憤っている。言い知れぬ憤りを感じている。いや、むしろもう言い知れている。君に対して憤っている! しかし、君への想いを伝えろとな。急にそんな事を言われても困る。なにせ君の言うとおりやはり僕は無知なのだ。文字を書くのもままならない。そんな僕に思いの丈をぶつけろだと? いいだろう。言ってやる。僕は僕を侮辱している時の君の顔が好きだ。ゾクゾクしてしまう。俗に言う変態だ。やぁ、変態だ。そんな変態なりに君を愛してみたいと思う。以上。
 では、返事を待っている。

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