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日本橋氏、妄想ヘンテコエッセイを書く 第弐回

 そもそも、なぜそんな馬鹿げた理由で日本橋氏が東京及び大阪に足を運ぶ決意をしたのかを、説明したいと思う。
 それは、あまりにも唐突で純粋な質問から始まった。
「日本橋さんは、そんなハンドルネームで日本橋に行ったことはないんですか?」
「日本橋さんは、そんなハンドルネームなのに行ったことがないというのは恥ずかしくはないのですか?」
「日本橋、恥を知れ」
「日本橋、ふざけるな!」
 這々が思っていた疑問を一心に背負った日本橋氏は、決意を固めた。
「俺は断固としてでも日本橋に行く。例えそれがどんなに遠く険しい道程でも俺は行く。俺はやる時にはやる男なのだ」
 これまでの短い人生、日本橋氏が「やる」と言ったことを成し遂げたことは一度もない。ましてや「やる」などと潔いセリフを口に出したことなどない。いつも氏は適当にお茶を濁して話を逸脱させることに長けていた。そんな氏がここまで本気になったのを筆者は未だかつて見たことはない。そしてこれから先も見ることはない。きっと最初で最後の果てしなく意味のない決意であるという事実だけが宙にぷかぷかと浮かんでいた。

 そして、ここではさらに日本橋という男について説明せねばならない。きっと読者にはどうでもいい情報であることに間違いはない。しかし日本橋氏自ら「僕のことをきちっと説明してください。これだけでは僕はただの阿呆のようではないか」
 阿呆のようではなく、阿呆なのだと気付いていないところに、氏の阿呆さがにじみ出ている。
 日本橋氏は身長180センチ、体重が65キロ、着痩せするタイプらしく、脱ぐと筋骨隆々な美しい肉体が顕になるとかならないとか。顔は向井理似のイケメン、大きな通りを歩けばすれ違う美女、そして男でさえその美貌に振り返る。勉強は常に首位であり、スポーツ万能、料理も掃除もできる。まさに完璧な人材だ。しかし、そんな氏にも苦手なことはある。それは虫だ。氏は虫を見ただけ逃げてしまうほどに虫が苦手であった。しかしその逃げる様もまた美しい。氏は何をしていても様になるのであった。
 これが日本橋という男の生態である。日本橋氏に脅され、無理やりこのような妄言の塊のような説明文を書かされる筆者の気持ちを誰が理解できよう。きっと誰にも理解できまい。

「日本橋氏は普段、何をなされているのですか」
 筆者は問う。
「そうですね、僕はいつもこれからの世の中について考えたり、勉学に励んだり、スポーツで健全な汗を流したりしていますね」
 にこやかな作り笑いを浮かべた日本橋氏はやけに堅苦しい口調だ。
「本当は何をしているのですか」
「……部屋でぼんやりしたり、漫画を読んだり、ネットをしたり、ゲームをしたり、卑猥な妄想をしたりしています」
「なるほど、創作活動の方は?」
「時たま思い出したかのように文章を書いていたり、練習程度に絵を書いていたり、最近は作曲に興味を持ったりといろんなことに手を付けようとして、失敗しています。お恥ずかしい」
「そうですか、今日はどうもありがとうございました」
「あ、はい。どうもありがとうございました」
 上記の会話は、日本橋氏にインタビューしたときの会話の一部である。このように、日本橋という人間は自堕落なことに日々の時間を費やすような人間なのであった。その生活について、氏はこうも語っている。
「くだらないことに全力でぶつかったり、本気でバカなことしたりすることもたまには大事なんです。まぁ僕は毎日がそんな感じですが(笑)」
 妄言も大概にしろ、この馬鹿が。

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